製薬用水について

日本で製造する分には、日本は水道水がちゃんとしているので、医薬品原薬製造には、水道水以上の品質の水を使用すれば問題ありません。(常水といいます)

井戸水等を使用する場合には、水道水基準をクリアした上で、動物の糞尿が混入していないかしっかりと確認するためアンモニウム濃度(0.05mg/L以下)を管理します。

製剤の場合

製剤になると精製水以上を使用します。

精製水の製造方法は、水道水を原水として、RO膜(Reverse Osmosis)→EDI(Electrodeionization、脱イオン)装置を通過させて、製造します。

RO膜で有機物などの除去を行い、EDIで塩化物イオンなどを除去します。

精製水より上のグレードの水は、塩化物イオンが水中に入っていないため、菌などが繁殖しやすくなっています。精製水のタンクは、使用するユースポイント含め、循環できるようなライン構成にします。

点眼剤などの場合

点眼剤などの製剤用水は、精製水を使用します。

それ以上の注射剤など、体内に直接入るような製剤に使用する水は、精製水をさらに蒸留などで精製して、注射用水レベルとします。

昔は、蒸留水しか注射用水として認められていませんでしたが、最近では、UF膜を通過させて精製した水も認められるようになってきています。(UF:Ultrafiltration)

このような精製水製造装置は、医薬品品質にダイレクトに影響するため、クオリフィケーションが必要となっており、IOQとして、菌が発生しないための熱水滅菌に関する機能確認が必要で、系内すべて、80度以上2時間以上循環できるようにな機能があることを確認します。

昔は次亜塩素酸を用いて滅菌していましたが、次亜塩素酸濃度の管理・除去が手間なので、最近は熱水滅菌が主流になっています。

また、各ユースポイントから空気が混入しないよう、すべてのユースポイントで、一定以上の流量がでていることを確認します。

その後、PQとして、水質を担保できる期間を設定するため、水質確認、熱水滅菌後、生菌数、エンドトキシンなどを確認します。

大体1、2週間に1回の滅菌サイクルで設定することが多いです。

このあたりは、各社生産のリードタイムなどから設定されるとよいかと思います。